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熊野三社/奥州藤原氏の御膝元に住まう八咫烏

中尊寺・毛越寺の近くにひっそり(?)と鎮座される神社。中尊寺・毛越寺が全盛を極めた奥州藤原氏の遺構が存在するとか!?

基本情報

神社名  : 熊野三社
読み方  : くまのさんしゃ
住所   : 〒029-4102 岩手県西磐井郡平泉町平泉花立92 

御朱印  : あり
建立年  : 嘉祥年中(850年頃)
創立者  : 慈覚大師
その他  : 嘉祥年間は毛越寺建立時期と被る

歴史

第54代仁明天皇のころの勅命により、慈覚大師が衆生済度のため、当国に下向し国々に神社仏閣を建立していく。
特に奥国磐井郡平泉郷には、五方鎮守の宮社を構えた。
第73代・第74代堀河・鳥羽両帝の勅願で、嘉保年中(1094年頃)に、奥羽両国の探題鎮守、藤原清衡公が江刺豊田城より居城を平泉に遷す。そして鎮守府の政を執るにあたり平泉鎮護の神として、五方鎮守走者を建立される。その中に当社熊野社平泉北方鎮守の神として、紀州熊野山、芳野金峰山より移して金峰社・熊野社を建立する。
五間四面の宮造りの社殿で、紀伊国より熊野権現の分身を本宮より御分霊賜り守護神として木像を安置し、末社に子守社・勝手社を祀る。
元亀2年に野火により焼失。
安政2年(1855)に境内を華舘山に移し仮宮を建立。末社を合祀し【熊野三社】と社名を改名。
明治24年に仮宮を改築造営したが、老朽化により平成22年に現在の社殿を造営し、境内整備を行い完成。
焼失の際に、蔵王権現木造の一部が残り、当社の宝物として祀られている。

御祭日

春祭  ; 3月9日
秋祭り : 9月19日

御祭神

【熊野社】
・ 伊邪那岐命
・ 伊邪那美命

【子守社】
・ 少名彦命

【勝手社】
・ 天忍穂耳命

御祭神の神格と御利益

【伊邪那岐命】・【伊邪那美命】
・ いざなぎのみこと・いざなみのみこと
・ 天地開闢において神世七代の最後に生まれた男神と女神
・ 『国産み』と『神産み』を行い、多くの国土と森羅万象の神々を生む
・ 結婚・死別・対立を経て、伊邪那美は【死】伊邪那岐は【生】を体現する
・ 神話において一番初めに出てくる夫婦神
・ 多くの神々を生みだすが、伊邪那美は最後に生まれた火の神(カグツチ)を出産した際に、やけどが原因で亡くなる
・ 伊邪那美に逢うために伊邪那岐は黄泉の国へ
・ 伊邪那岐が訪れるのが遅くなり、伊邪那美は黄泉の国で造られた食べ物を口にしてしまっていたため、現世には戻れないとのこと
・ 心変わりをした伊邪那美は黄泉津大神に相談することに
・ 相談の間決して見ないように、と釘を刺すが、一向に帰って来ない伊邪那美に伊邪那岐は約束を破り黄泉の国へ。そして伊邪那美を見てしまう
・ そこには腐敗して蛆にたかられ、八雷神に囲まれた伊邪那美が…
・ 妻である伊邪那美の変わり果てた姿を見て逃げる伊邪那岐
・ 伊邪那美は『恥をかかせた』と激怒して黄泉醜女に伊邪那岐を追わせる
・ 伊邪那岐は黄泉比良坂まで逃げ延び、大きな岩で黄泉の国への入り口をふさぐ
・ 伊邪那美は『これからは地上の人間を一日千人殺す』と言い放つが、伊邪那岐は『私は一日に千五百の産屋を建てよう』と宣言する
・ これ以降伊邪那美命は黄泉の主宰神となり、人間の死を司る【黄泉津大神】【道敷大神】と呼ばれるようになる
・ 黄泉の国から帰ってきた伊邪那岐は海に入り禊を行う
・ 黄泉の国の穢れを洗い流す
・ このときも多くの神々が生まれ、最後に天照・月夜見・素戔嗚の三貴子が生まれる
・ 神社を参拝する際に拝殿の前の手水舎で手を洗う行為は、祈願する前に心身を浄める意味がある
・ 元々は川や海に入り穢れを落とす行為が簡略化されたモノ
・ こういった古来からの儀式は、元々は伊邪那岐が禊をしたことにちなんでいる
《神格》
人類の起源神、結婚の神、創造神、万物を生み成す女神
《御利益》
出世開運、商売繁盛、家内安全、厄除け、延命寿命、無病息災、病気平癒、縁結び、夫婦円満、安産・こそ座手、産業繫栄、豊作・大漁

【少名彦命】
・ すくなひこなのみこと
・ 海のかなたにある常世の国から渡ってきた小人神
・ 【一寸法師】のルーツ
・ 腕力よりも、持ち前の知識力で様々な困難を克服する
・ 豊かな知識と技術を持つ
・ 指の間から零れ落ちるほど小さい神
《神格》
穀物神、医療神、酒造の神、温泉の神、常世の神
《御利益》
国土安寧、産業開発、漁業、航海守護、病難排除、縁結び、安産、育児守護

【天忍穂耳命】
・ あめのおしほみみのみこと
・ 天照大神と素戔嗚尊の誓約で勾玉より生まれた神
・ 『穂』は稲穂のこと
・ 『耳』は身をいっぱいつけて首を垂れる稲穂
・ 『立派に実った大きな稲穂』という名を持つ
・ 天界の暴れん坊素戔嗚。高天原を攻めに来たと思い込んだ天照に対し、素戔嗚が自身の身の潔白を証明するために誓約を提案する
・ 天照が素戔嗚の剣を折り、それをかみ砕いて噴き出すと宗像三女神が生まれた
・ 素戔嗚が天照の勾玉の髪飾りをかみ砕いて吹き出すと、三柱の男神が生まれた。その一柱が天忍穂耳命
《神格》
稲穂の神、農業神、皇統の祖神
《御利益》
諸産業隆昌、勝運招福、家門繁栄、商売繁盛、入学就職、結婚、厄除け、病気平癒

奥州藤原氏の遺構

・ 12世紀・奥州藤原氏時代の窯跡群
・ 金鶏山の東に広がる【花立Ⅰ遺跡】の一部
・ 通称・花立山と呼ばれる
・ 毛越寺と中尊寺のほぼ中間にあたる
・ 平成19年の社殿の建築に伴う切土工事の際に、奥州藤原時代の陶器・焼いた窯跡が発見された
・ 削平により窯本体の大部分は消失したが、分焔柱の一部と焼成室の床面近くから、いくつかの製品が出土

八咫烏

・ やたがらす
・ 『日本神話』に登場する導きの神
・ 三本足の大きな烏で、太陽の化身
・ 東征神話において、熊野で神武天皇を導き大和国平定に貢献
・ 熊野信仰においては熊野神の神使
・ 日本サッカー協会や自衛隊の情報部隊におけるシンボルマーク
・熊野神が海の彼方より上陸した際に、み道案内をしたのがカラス、という伝承が残る。八咫烏の起源か?
・ 熊野本宮大社において、八咫烏の三本の足にはそれぞれ『天(天神地祇)』・『地(自然環境)』・『人』を表現している
・ 神と自然と人が、同じ太陽から生まれた兄弟であることを示すという説
・ 朝日・昼の光・夕日を表現という説
・ 古来より太陽を表す数が『三』
・ 太陽神を祀る神社の神門が三つ巴であることと同じ意味を持つとする説
・ 三本足の明確な理由は定まっていない
《神格》
導きの神、太陽の霊鳥
《御利益》
交通安全、厄除け、必勝祈願

境内の様子

【鳥居】
笠木  : 反り増しあり
島木  : あり・反り増しあり
木鼻  : あり
楔   : あり
額束  : あり
その他 : よく見る形
・ 全国的によく見るポピュラーな鳥居
・ 明神系鳥居の【明神鳥居】
・ 朱色ではなく石造り

【参道】
・ 真ん中は石畳
・ 左右は砂利敷
・ しっかりと整備されており歩きやすい

【手水舎】
・ 立派な屋根
・ 見た目から銅瓦葺?
・ 重厚な感じがする
・ 軒丸瓦には神紋の三つ巴が刻まれている
・ 四脚で懸魚もついている
・ 某感染症の影響もあり、現在も水は流れていない
・ 建物は歴史的な感じだが、手水が出るところはハイテク風

【狛犬】
髪・眉 : 前髪カールしており眉との見分け憑かず
口・歯 : 唇がはっきりとわかる。上下に合計4本の牙。歯は四角く、上の歯が良く見える
髯   : 顎から下に伸びる髯
耳   : 伏せているが、耳先は上を向いている
目・鼻 : 眼力の強さが垣間見える。丸い瞳がある。大きく目立つ獅子鼻
毛・尾 : 体に張り付いているが流れるような毛並み。顔周りにライオンの様にカールした毛が生えている。尾は立ち尾で、周りの毛並みもカールしている
手足  : がっしりとした四肢。爪も目立つ
姿勢  : 姿勢の良いお座り
・ 吽形の足元には子供の獅子
・ 親獅子同様に小さいながらも背筋を伸ばした堂々とした姿勢
・ かっこいいよりも可愛い
・ 唖形型の足元には毬
・ 爪を立てた足で毬をがっちりと抑えているように見える

【末社・摂社・石碑等】
・ 御社殿の隣にある
・ 御社殿に似た造りで、こちらの方が古いように感じる
・ 建物の隣には『三吉神社』と『古峯山』の石碑と、石造りの社が多数

【御社殿】
階層   : 平屋建て
材質   : 木造
建築様式 : 平入
屋根の特徴: 入母屋
屋根の材質: 銅板葺?
宮彫り  : 植物・花
木鼻   : 獅子・ゾウ
・ 正面に千鳥破風
・ 破風の下には懸魚がついている。桁隠は見られず
・ 再建したとあるが、屋根は味がある風な色合い
・ 煌びやかな箇所よりも、立派な彫刻が目立つ
・ 左右の柱から提灯が下がるが、八咫烏が描かれている
・ 貫は質素だが、木鼻の存在感
・ 額の左右の吊るし燈籠。暗い時期になるとまた違う姿を出すのだろう
・ 神拝詞は『この神社に鎮まります大神をはじめ 八百万の神々等 祓い給へ 清め給へ 守り給へ 幸へ給へ』

御朱印について

・ あり
・ 書置き

まとめ・感想

中尊寺・毛越寺からほど近い近くに鎮座されている神社。
境内は広くはないが、境内周り・参道はよく整備されている。世界遺産である平泉の文化郡が近くにあり、車道にも面しているが、静かな場所だった。参拝中は周りの環境を気にすることなくゆっくりと出来た。
神紋が八咫烏。
サッカー日本サッカー協会のシンボル…なのだが、筆者的には某弾幕ゲームのキャラクターの方が先に出てくるという…。
御社殿・その前の狛犬共に堂々とした御姿。威厳と力強さを感じられる。
中尊寺の極楽世界を表現した煌びやかな景色も良いが、こちらの落ち着いた世界観にも足を運んでみるのもお勧めしたい。
神社前の文化センター(無料)で平泉の歴史に触れるのも楽しいよ?

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