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法眼寺/地蔵院の近くにある文化財

愛宕山地蔵院の近くに鎮座される法眼寺。行こう行こうと思いながらも素通りしていたが、地蔵院の近くということもあり訪問することに。
参拝後、なぜ今まで素通りしていたのか…?

基本情報

寺院名  : 法眼寺
宗派   : 黄檗宗
山号   ; 宝巌山
正式名称 : 宝巌山法眼寺
住所   : 青森県黒石市山形町82

御朱印  : あり
開山   : 延宝8年(1680)
開山年  : 宗運和尚
その他  : 津軽三十三観音霊場第二十六番札所(札所本尊:十一面観世音菩薩)
       津軽八十八ヶ所霊場第二十九番札所(札所本尊:聖観世音菩薩)

歴史

当初は温湯村(温湯温泉)にあったが元禄4年(1691)に、黒石領主三代目に当たる津軽政兕が篤く帰依する。黒石陣屋に近い現在地(山形町)に移された。その後は歴代の黒石藩主の祈願所として庇護される。
温湯温泉にある跡地には薬師堂が残された。享保9年(1724)に、弘前藩五代目藩主・津軽信寿により【瑠璃山薬師寺】の寺号を賜り、黄檗宗の寺院として再興。
寛政7年(1795)には江戸時代後期の紀行家にして民俗学の祖とも呼ばれる菅江真澄が当寺を訪問される。梵鐘の由緒や挿絵を記録。
津軽三十三観音霊場二十六番札所黒石観音堂は元々【黒石神明宮】の境内にあった。しかし、明治2年(1869)の火災で焼失、神仏分離・廃仏毀釈運動が行われたことにより再興には至らず。明治後期に観音霊場再興の機運が高まると法眼寺が札所として選定。
法眼寺開山堂は正徳3年(1722)に建立。小規模ではあるが法眼寺最古の御堂建築。平成4年に黒石市指定有形文化財に指定。

法眼寺にある文化財について

【御本堂・法眼寺開山堂】
・ 明和6年(1769)に建立
・ 江戸中期に建てられた大型本堂建築の遺構
・ 平成5年(1993)に青森県重宝
階層   : 平屋
材質   : 木造
建築様式 : 入母屋造
屋根の特徴: 妻入り
屋根の材質: 茅葺・鉄板葺(北面)
宮彫り  : 植物
その他  :  向唐破風

【鐘楼堂】
・ 黒石領主の祈願所
・ 延享3年(1746)に黒石津軽家や檀信徒らの喜捨によって建立
・ 県内でも珍しい唐風造り
・ 昭和53年(1978)に青森県重宝に指定
・ 垂木が放射状に配置
・ 上部に梵鐘が吊るされている
・ 幅・奥行4.5m
・ 高さ7.2m
・ 屋根は上層が寄棟造の茅葺
・ 下層が銅製のこけら葺き

【法眼寺山門】
・ 寛保元年(1741)に建立
・ 歴史的に本堂よりも古い
・ 扉などはない
・ 細部の彫刻は建築当時の意匠が残されている
・ 黒石市指定有形文化財
・ 平成4年7月7日指定
・ 屋根は茅葺
・ 四脚門だが、屋根は唐門の特徴がみられる
・ 向唐門

【法眼寺の砂踏乃碑】
・ 寛延4年(1751)の石碑
・ 西村四郎兵衛の妻が西国三十三所巡礼を行った際に、巡礼先の砂を持ち帰る
・ 石碑の下に埋めたことが記されている
・ 砂を踏むと巡礼に行ったことと同じ利益があるという
・ 県内唯一
・ 黒石市指定有形文化財
・ 平成元年3月3日指定
・ 百万遍
・ 往復したからと2回目というわけではない
・ 参道に何気なく鎮座されているため素通りしそう

【剣】
・ 法眼寺に安置されている三体の不動尊のうちの一体が所持
・ 文政3年(1820)に石川忠右衛門・忠兵衛が寄進
・ 名刀匠・二代目細川正義作
・ 唯一見れなかったが…
・ 黒石市指定有形文化財
・ 平成11年1月5日指定

それぞれの御本尊について

【十一面観世音菩薩】
・ じゅういちめんかんぜおんぼさつ
・ 六観音(七観音)の一つ
・ 修羅道を救う
・ 頭部に十一・十の面を持つ
・ 360度あらゆる方角を常に見れる
・ 命あるすべての者たちの苦難を見落とさないようにしている
・ 真言は『オン マカキャロ ニキャ ソワカ』
《十一面》
暴悪大笑面  : 悪を笑い飛ばす(一面)
忿怒面    : 怒った顔(三面)
菩薩面    : 優しい顔(三面)
狗牙上出面  : 牙を出す(三面)
仏頂面    : 如来の顔(登頂に一面)

【聖観世音菩薩】
・ しょうかんぜおんぼさつ
・ 梵名は【アーリヤ・アヴァローキテーシュヴァラ】
・ 大乗仏教の代表的な菩薩
・ 略称として【観音様】
・ 【観自在菩薩】とも
・ 悩める者を救い、大いなる慈悲の心で人々を癒す
・ 世間の人々の苦しみや悩みの声を聴き、救済する
・ 《苦難除去、現世利益、病気平癒、厄除け、開運、極楽浄土》などといった幅広い御利益を持つ
・ 観音様の基本形
・ 観音様の中で、最も人間に近い姿
・ 基本的に立像だが、座っている像も存在する
・ 六観音の一つ
《六観音》
①聖観音   : 観音菩薩のもとの姿
②十一面観音 : 『11の顔』を持ち、それを以って人々を救う
③千手観音  : 『千の手』により、人々を救う
④如意輪観音 : 人々の願いをかなえる
⑤馬頭観音  : 人々の迷いの心を食べつくす
⑥准胝観音  : 無数の仏を生み出す
※不空羂索観音: 強力な縄で人々を救い上げる
・ 真言宗では准胝観音を。天台宗では不空羂索観音を加えての《六観音》とする
・ または両観音を加えての《七観音》とすることもある
・ さらに【楊柳観音】を加えての《八観音》とすることも

黄檗宗について

・ おうばくしゅう
・ 開祖は隠元
・ 開宗年は1661年
・ 日本における『十三宗派』の一つ
・ 歴史的に一番新しい宗教
・ 臨済宗・曹洞宗と同じ【禅宗】の一つ
・ 隠元は明時代の中国の僧
・ 江戸時代初期に来日
・ 徳川幕府四代目将軍・徳川家綱の援助により、現在の京都府宇治市に【黄檗山萬福寺】を開き、日本で【黄檗宗】を興す
・ 隠元はインゲン豆を伝えた人物
・ 黄檗宗は『念仏禅』
・ 念仏と禅を融合した教え、

境内の様子

【山門】
・ 詳細は上記
・ 茅葺屋根の山門は目にしたことはあるが、唐風の造りの物は初めて
・ 門の左右にある入り口(?)が中国風に見える
・ 山門の夏季は、境内をぐるりと囲むような形状ではなく、あくまでも境内への入り口というような造りをしていた
・ 門だけだと寂しい感じがするが、左右へ延びる垣により重厚感(?)が増しているように見える

【お地蔵様】
・ 水子供養かな?
・ 子供が足元に縋り付き、一人を抱っこしている
・ 笑っている様にも見える

【鐘楼堂】
・ 詳細は上記
・ 屋根は山門や御本堂同様に茅葺
・ 二階建ての立派な鐘楼堂
・ 300年ほどの歴史ある建造物
・ 山門から御本堂へとまっすぐに進んでいると左手側に立っている
・ こちらも唐風の造りで珍しい物
・ 八戸の蕪島の様に、火事には気を付けてほしい建造物

【不動堂の狛犬】
髪・眉 : 所々カールしたもこもこした髪をしている。また前髪がカールしており眉は見えない
口・歯 : 唇・舌がある。丸みを帯びた歯と牙がある
髯   : 短めなあごひげがある。一部カールしている
耳   : 後ろ斜め後方に伏せる形状の耳
目・鼻 : 真ん丸な目をしている。獅子鼻で大きい
毛・尾 : 体に張り付いた毛並みで、立ち尾
手足  : 太めの手足
姿勢  : ずんぐりとした体形でお座りしている
・ 唖形型・吽形型共に笑っている様な表情をしている
・ 同じ狛犬なのだが、唖形・吽形共に個性的な表情をしている
・ 唖形が大笑い・吽形型が忍び笑いみたいな表情
・ 唖形型は参拝者を見ているが、吽形型は遠いところを見ている風

【不動堂】
階層   : 平屋
材質   : 木造
建築様式 : 入母屋造
屋根の特徴: 妻入り
屋根の材質: 鉄板葺(?)
木鼻   : なし
・ 小さいながらも立派なお堂
・ 向唐破風の特徴が見える
・ 山門同様に唐破風の造り
・ 破風の下には懸魚がある
・ 額は古臭くなく、味のあるような風体をしている

【手水舎】
・ 四脚の建造物
・ 屋根は不動堂と同様の材質か?
・ 水は出ていない
・ 手水舎の傍らに味のある石燈籠があった

【御本堂】
・ 詳細は上記
・ 一番上に『宝巌山』の赤い縁の額が掲げられている
・ 向唐破風の懸魚は菊と葉のような模様
・ 奥の宮彫りも同じく植物の彫刻
・ 雪国らしく二重玄関。雪がなぁ…
・ 外観同様に内部も厳かな雰囲気
・ 外観・内観共に煌びやかな雰囲気は無いが、厳格な空気が感じられる場所だった
・ 黒石の藩主がのっていたのかな?

【石碑】
・ 百万遍の石碑
・ 何かしらの歌碑と記念碑かな?

御朱印のついて

・ あり
・ 津軽三十三観音霊場第二十六番札所の御朱印

まとめ・感想

黒石に行くとよく当寺院の前を素通りしていた。
「立派だなぁ」「おおきいなぁ」と思いながら素通りしてきていた。その後こちらの寺院のことを調べると歴史が深く、文化財も多く存在することを知る。
また霊場巡りにも興味を持つようになったこともあり、何か縁を感じ来訪することに。
まず目に入るのが変わった山門。
唐風?というのか…。

境内の鐘楼堂や御本堂など、山門に負けず劣らず重要な文化財。数多くの文化財が点在していた。何故もっと早くに訪問しなかったのだろうか?
境内は勿論、その周囲も綺麗に整備されていた。案内板も見やすい。観光地ではないが、よく整備されていたことは良い印象を持てる。
境内にある文化財に出会えたことも嬉しいことだが、変わった宗派のことを学べたのもプラスとなったと思う。
青森に長く住むが、まだまだ知らないこと・行ったことのない文化財が多い。今度は津軽地方にも手を伸ばしていこうかな。

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