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柏正八幡宮/燈籠の中にも一つの世界

長閑な農道を過ぎると到着する神社。何かのゲームの世界に迷い込んだような風景を見せてくれる参道を抜けると立派な社殿が見えてくる場所。
周りは田畑が多く、五穀豊穣の御利益があるのは分かる。海からは近くない場所にあるが、航海守護の御利益がある不思議な感じがした神社。

基本情報

神社名  : 柏正八幡宮
読み方  : かしわしょうはちまんぐう
住所   : 青森県つがる市柏桑野木田八幡117

御朱印  : あり
建立年  : 天正5年(1576)
創立者  : 津軽為信
その他  : 工藤祐益の子孫は代々八幡宮の神官を歴任

歴史

津軽為信が社殿を建立し金造の神像を御神体としたのが始まり。
前年に当地を訪れた時に、落ち武者とされる工藤祐益・花巻頼母・山崎織部から篤い持てないを受け、彼らから産土神の勧請。そのご加護を以って新田開発に従事したと上願をした。
為信は彼らのもてなしと熱意に感動。社殿が完成すると国家安寧・五穀成就・萬民豊楽・武運長久の祈願を込めて直筆の棟札を奉納。そしてこの地を『広須野』と名付けたと伝わる。
江戸時代に入ると広須新田・木造新田が開発される。両方の新田の鎮守として住民から信仰される。歴代弘前藩主も祈願所として崇敬庇護する。
当初は旧柏村広須にあり【広須八幡宮】と称していた。
寛文8年(1668)に津軽藩主四代目津軽信牧の命により、現在地に遷座し、引き続き広く信仰を集めた。
廣大山浄円寺の鎮守社である稲荷神社が合祭。
明治6年(1873)に薬師宮が合祭。
同年に郷社に列する。
明治42年(1909)に為信公直筆の棟札の正八幡宮にあやかり【柏正八幡宮】に社号を改める。

御祭日

例祭   : 7月15日

御祭神

主祭神  : 譽田別命(十五代応神天皇)
相祭神  : 少彦名命(医薬の神)

御神徳

【譽田別命】
・ ほんだわけのみこと
・ 【応神天皇】【八幡神】に名で知られる
・ 戦前までは武神。戦後は教育や縁結びなどの日常生活に根差した諸願成就の神へと変化
神格  : 文武の神 ・ 厄神
御利益 : 国家鎮護、殖産産業、家運隆昌、成功勝利、交通安全、教育、子孫繁栄、厄除け、悪病災難除け

【少彦名命】
・ すくなひこな
・ 一寸法師のルーツ
・ 海のかなたにある常世の国から光り輝きながらわたってきた小人神
・ 腕力ではなく、豊かな知識と技術を持つ
神格  : 穀物神、医療神、酒造の神、温泉の神、常世の神
御利益 : 国土安寧、産業開発、漁業、航海守護、病難排除、縁結び、安産、育児守護

境内の様子

【一の鳥居】
笠木  : 反り増しあり
島木  : あり・反り増しあり
木鼻  : あり
楔   : あり
額束  : あり
その他 : 柱の上部に台輪がある
・ 明神系鳥居からの発展型【台輪鳥居】
・ 石造りの鳥居

【二の鳥居】
・ 一の鳥居と同様に【台輪鳥居】
・ 殆ど同じ造形の鳥居

【社殿前の鳥居】
笠木  : 反り増しあり
島木  : あり・反り増しあり
木鼻  : あり
楔   : あり
額束  : あり
その他 : 柱の前後に稚児柱がついている
・ 明神系鳥居の発展型【両部鳥居】
・ 一の鳥居と二の鳥居と同様に石造の鳥居
・ 天気と光の加減もあるが、何だか神々しい雰囲気が出ている
・ 立派な注連縄

【手水舎】
・ 現在は水はなかった
・ 龍神様
・ 身字が無いのは寂しいが、これはこれで風情があるようにも思えるようになってきた

【石灯籠】
・ 二基の燈籠
・ 招き猫や大黒様、十二支のミニチュアが住んでいる?
・ これはこれで可愛く、一つの世界の様に見えてくる

【ウマの石像】
・ 二対のウマ
・ 脚や首が修復されている
・ 眼や口はかろうじて見える程度
【ウマ】
・ 神の願いを届ける動物
・ 古来より日本ではウマは神の乗り物とされ、願いを届けるためにウマを捧げてきた
・ 元々は生きた馬を捧げていたが、それが埴輪になり、平安時代に入ると土や木工のウマを捧げるように。そしてそれが発展・簡略化されたのが【絵馬】である
・ 御利益として祈雨・止雨、五穀豊穣、諸願成就がある

【狛犬】
髪・眉 : 前髪カールし眉は隠れている
口・歯 : 唇があり、歯は確認できないが、上下に二本ずつ牙が確認できる
髯   : 短くカールした顎髭が見える。また花と唇の間にも髭がある
耳   : 伏せたり横に伸びるのではなく、上に立っている
目・鼻 : 黒い瞳があり周りは青っぽい。楕円形の目をしている。鼻は大きい獅子鼻
毛・尾 : 毛並みは体に張り付いている。尾は立ち尾
手足  : 手足は大きくがっちりとしている。爪も確認できる
姿勢  : お座り姿勢
・ 唖形の足元には毬。吽形の足元には子犬がじゃれているようにしがみ付いている
・ 子連れの狛犬のよう
・ 獅子のような見た目ではない
・ 顔つきが特徴的。目が青いのは光の加減などではなく。本当に青い
・ 他の神社などでは見たことが無い造形
・ 顔の割に耳が大きく感じられる

【社殿】
階層   : 平屋建て
材質   : 木造
建築様式 : 平入り→神明系
屋根の特徴: 千鳥破風(ちどりはふ)
屋根の材質: 銅板葺
宮彫り  : 二対の龍神様
木鼻   : 獅子
・ 頭貫・海老虹梁には蔓が伸びるような彫刻が施されている
・ 壁の上部には十二支(子・丑・寅・卯)の大絵馬が飾られている
・ 上部の壁は白い漆喰
・ 拝殿内は厳かな雰囲気
・ 拝殿からの境内の眺めは、しっかりと整備されていることがわかる
・ 拝殿・本殿共に屋根の上部に鰹木がある

【土俵】
・ 神社の境内には神楽殿や土俵があるというが、意外と少ないように感じる
・ 柏正八幡宮さんには土俵があった
・ 五穀豊穣を占う神事相撲を取っていたのかなぁ?
・ 津軽地方は米どころだから…

【摂社・末社】
・ 猿田彦大神と天月夜見大神を祀っている
・ 鳥居?よくよく見ると単管パイプで造られた鳥居。初めて見たなぁ
・ 海上安全、天下泰平、国家安寧
・ 単管鳥居の隣には、大きい木造の鳥居
・ 祀っている神は同じ。遷したようには見えないが、単管鳥居は面白いかも

御朱印の有無

あり
境内隣のご自宅でいただける

まとめ・感想

一の鳥居から境内を目指すと、左右が林が広がっているため、近くには住宅街と小学校があるにもかかわらず、トトロの住む場所のような静かな場所が広がっている。
鬱蒼とした森ではなく、木々の間からの木漏れ日がさらに不思議な雰囲気を醸し出している。
境内にある燈籠の中を覗くと、ミニチュアの干支や大黒様、招き猫などが住まわれていた。一つの世界から参拝者を見守っているように見えた。参拝中は見守られているからか、いつも以上に厳かな雰囲気が漂っていたように思える。


隣に神主宅があるが境内は無人。しかし参道・境内・拝殿内は整理されており、鳥居の注連縄などが解れているなどの問題も見当たらず、地域の方々含め大事にされている場所だと感じられた。
独特な雰囲気と造形を持つ狛犬もGood!

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